ブログ紹介 揺さぶられっ子症候群の問題点を指摘

下記のブログで、脳神経外科の藤原一枝医師が、揺さぶられっ子症候群の問題についてコメントしておられます。SBS検証プロジェクトについても触れておられます。是非お読みください。http://www.iwasakishoten.site/entry/kodomo/kega

http://www.iwasakishoten.site/entry/kodomo/gyakutaiyougi

2018年2月10日京都にて国際シンポジウムを開催します

画期的なシンポジウムです。

https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-995.html

何が「画期的」なのか。以下の二点をご覧ください。

第一に、医師と法律家が共にSBS理論について議論する場は、(少なくとも公開の場は)日本ではこれまでに存在しませんでした。

第二に、複数の専門領域の医師が、SBS理論の科学的信頼性を特に論じる機会は多くはなかったと伺っています。

本シンポジウムには、複数の専門領域の医師と法律家が共に参加します。

豪華なパネリスト

本シンポジウムは、単なる議論の場を提供するだけではありません。

まず、国外からは、SBS理論の科学的信頼性について問うてきた著名な医師と、SBS事件を担当した弁護士を招きました。

次に、国内からは、SBSについて日本で最も深い知識を有するとされる脳神経外科医、医学界をリードしてきた法医学者、日々医療現場で臨床に携わる医師が参加します。そこに、SBS事件を現に担当する弁護士と研究者が数名加わります。(今後、異なる立場の医師にも参加を呼びかける予定です)

本シンポジウムは、「刑事司法における科学鑑定の信頼性」を追求するユニットが主催しています。ここで問われているのは、「特定の虐待の判断基準が科学的に信頼できるか否か」という問題であり、「虐待を許すか否か」ではありません。

エビデンス・ベースドな議論を志向する方、ぜひご参加ください。参加費は無料です。

お申し込みは以下から↓

https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-995.html

 

SBS(揺さぶられっ子症候群)とは?~その3(「三徴候」とは?)

揺さぶられっ子症候群の診断には「①硬膜下血腫またはくも膜下出血 ②眼底出血 ③脳浮腫などの脳実質損傷などの三主徴」(厚生労働省「子ども虐待対応の手引き」2013年)が挙げられるとされます。つまり、この「三徴候(英語で“Triad”と言います)」といわれる三つの症状がSBSの診断の際の決め手になるのです。

さて、前回の記事でお話ししたとおり、SBSの仮説は1970年代に萌芽を見せました。しかし、その理論的先駆者であるとされるカフィーは、硬膜下血腫と網膜出血にのみ注目していたのです。

それでは、いわゆる「三徴候」による診断は、いつ頃から行われていたのでしょうか。

この点は実は明らかではありません。カフィーの1970年代初頭の論文以降、1990年代後半までのいつかではないかとされています。 続きを読む

SBS(揺さぶられっ子症候群)とは?~その2(SBS理論の起源)

SBS理論の起源は、1970年代にさかのぼります。

そもそも1960年代までは、欧米でも「児童虐待」に対する問題認識がありませんでした。

このような中、1962年にアメリカの小児科医であるケンプが「被虐待児症候群(Battered Child Syndrome)」の概念を提唱し、親による身体への虐待があった子どもの特徴を挙げました(そのひとつに硬膜下血腫がありました)。

ケンプの議論を受けて、児童虐待への対応の必要性への認識が広まり、児童虐待に対応するための法律が全米の各州で1963年以降に制定されていくことになります。子どもが養育者などから虐待されていると考えたとき、一定の職業の人たちに通報を義務づけるという内容のものでした。そして、各地で通報を受けて対応を行うための児童保護チーム(Child Protection Team)が形成されます。

さて、このような状況のもと、体表に外傷の後がない乳児の実例を分析したガスケルチ(イギリスの小児神経外科医)が、1971年に論文を発表します。頭部外傷がなかったとしても、揺さぶることで乳幼児の硬膜下血腫が生じうるのではないかという主張を内容とするものでした 。

ガスケルチの主張を受けて、アメリカの小児放射線科医であるカフィーは1972年と1974年の論文で「むち打ち揺さぶられ乳幼児症候群 (Whiplash Shaken Injury) 」の概念を提唱しました。乳幼児に硬膜下血腫と網膜出血がみられ、体表にその他の明らかな外傷がない場合には、揺さぶりによって硬膜下血腫と網膜出血が生じたと考えられる、との仮説を主張したのです。 続きを読む

脳浮腫の原因はびまん性軸索損傷か?

医学専門的な話になってしまいますが、SBSをめぐる刑事裁判で、「暴力的な揺さぶりがあった」と決めつけようとする検察側証人の医師は、三徴候の一つとされる「脳浮腫」の原因について、「揺さぶりによって、びまん性軸索損傷が生じたのだと推定する」と強調します。

「びまん性軸索損傷」というのは、簡単に言うと、脳の中の広い範囲で(医学的にはそのような場合を「びまん」といいます)、神経が切れてしまうことです。もし、虐待によって、このようなびまん性軸索損傷が起こったとするのであれば、それは大変なことです。

しかし、「揺さぶりによって、びまん性軸索損傷が生じる」という根拠は示されません。「どの程度の揺さぶりによってびまん性軸索損傷が生じるのか」「そもそも揺さぶりによってびまん性軸索損傷は生じるのか」について、何の医学的データもないのです。逆に、イギリスの神経病理医であるゲッデス医師は、脳浮腫を生じた乳児の死亡例を数多く解剖した結果、びまん性軸索損傷はほとんど起こっていないこと、脳浮腫の多くは、低酸素脳症によるものであることを確認しました。

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SBS(揺さぶられっ子症候群)とは?~その1

そもそも、揺さぶられっ子症候群(乳幼児揺さぶられ症候群)とはどういうものなのでしょうか。

揺さぶられっ子症候群は、英語では”Shaken Baby Syndrome”(略して「SBS」)と呼ばれます。最近では、”Abusive Head Trauma”(「虐待による頭部外傷」、略して「AHT」)という呼び方をされることもあります。

簡単にいえば、赤ちゃんの頭を激しく揺さぶることにより、脳が損傷して重篤な結果が生じるというものです。赤ちゃんの身体に他に目立った外傷がない場合には、保護者や養育者が赤ちゃんを激しく揺さぶって(つまり、虐待して)傷害や死亡の結果を負わせたと推認されているのです。

SBSは、三つの症状(「三徴候」といいます)から診断できる、といわれています。①硬膜下血腫、②網膜出血、③脳障害(脳浮腫など)です。しかし、今後書いていく予定ですが、この三徴候の内容自体、実は明確ではありません。

SBSの理論に対しては、1980年代の終わりころから批判が向けられてきました。SBS理論の起源と現状について、これから何度かに分けて書いていこうと思います。

*詳細は、HPのこちらの記事やこちらの記事もお読み下さい!

柳原三佳さんの記事 現代ビジネスで連載中。 

昨日ご紹介したヤフーニュースの柳原三佳さんの記事ですが、その詳細版が講談社の現代ビジネスで連載中です。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53525

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53528

今後の連載では、笹倉教授のインタビューや海外の状況などもレポートされる予定のようです。

スウェーデン政府機関(医療技術評価協議会)報告書を研究すべき。

スウェーデン政府機関の医療技術評価協議会(SBU)の「SBS虐待論」についての調査は徹底しています(SBS検証プロジェクトのホームページに報告書の翻訳がでています。以下「SBU報告書」)。

http://shakenbaby-review.com/SBUReportofSBS2016.pdf

SBS虐待論では、「乳児に三徴候(硬膜下血腫、眼底出血、脳浮腫)等が見られれば、交通事故や2階などの高位からの落下といったエピソードがない限り、最後に接していた養育者が揺さぶりによる虐待を加えたと推認できる」などとされます。SBUは、このSBS虐待論について、世界的に承認されているシステマティック・レビューという検証方法を使って、2年かけてSBS虐待論を展開する全世界の3773もの医学文献を検討し、うち全文1065件について精査しました。すると、1035件は基準に合致せず、残りの30件のうち中程度の質の証拠(養育者の自白)が示されたものがわずかに2件あったのみ、他は質の低い証拠しか示されておらず、質の高い証拠があると判断されたものは1件もなかったというのです。その結果として、三徴候を揺さぶりと結びつける科学的証拠は不十分であるとしたのです。

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SBS検証プロジェクトについて

SBS検証プロジェクトShaken Baby Syndrome Review Project Japan)は、「揺さぶられっ子症候群(SBS/ AHT)」について科学的な観点から徹底的に検証することを目的として、2017年9月に立ち上がりました。

ホームページはこちらです。是非ご覧下さい。

今後、最新情報などをアップしていく予定です。