すでに秋田弁護士が詳細な反論を書いていますが、2020年7月19日の朝日新聞・朝刊オピニオン面記事「(フォーラム)赤ちゃん、泣きやまない時」には、様々な疑問があります。私からも、いくつか指摘しておきたいと思います。
第一に、SBS/AHT記事をめぐる論争の争点がどこにあるのかを、本特集記事は理解して組まれていないように思います。虐待により頭部に外傷を負う子どもがいるということには争いがありません。私たちが一貫して申し上げているのは、それを「三徴候」などで診断することに科学的根拠があるのかどうかという点、「三徴候だけでなく慎重な診断をしている」と言われますが、その診断は一体どのように行われているのか、本当に慎重な診断が行われているのか、という点です。そして「わからない」ことを「わからない」と認め、これまでの誤った診断に真摯に向き合った議論をすべきではないかということです。
本記事は、AHTの問題について「科学的に何がいえるのか」ではなく、アンケート調査の結果などから「揺さぶりによる虐待がありうる」ことを述べるのみです。しかし、これは議論の本質を捉えたものではありません(なお、本特集記事のフォーラムアンケートには、実際に「揺さぶった」という回答はありません。また、藤原医師の研究も「揺さぶった」がどの程度のものか、揺さぶりによって三徴候等が生じたのかについても言及はありません)。
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