冤罪被害者からのメッセージ

シンポジウムでは、刑事裁判で係争中の方も含めて、3名の方からのメッセージがありました。このうち、約三年の親子分離を経験した矢野美奈さん(一般社団法人スリーポート)がステージで読み上げて下さったメッセージを、ご許可を得て掲載します。

SBS問題の「主役」は誰なのかを改めて感じさせるものでした。 続きを読む

国際シンポジウム「揺さぶられる司法科学」@京都(2/19)に参加しました

2018年2月10日(土)に京都の龍谷大学響都ホールにて、国際シンポジウム「揺さぶられる司法科学~揺さぶられっ子症候群仮説の信頼性を問う~」が開催されました。基調講演を元オクスフォード大学ジョン・ラドクリフ病院・神経病理学のウェイニー・スクワイヤー医師、ウィスコンシン大学ロースクール准教授キース・フィンドレイ弁護士、ウィスコンシン大学ロースクールイノセンス・ネットワークSBS担当キャサリン・ジャドソン弁護士が行い、講演・パネルディスカッションには、青木信彦医師、岩瀬博太郎医師、荒木尚医師、朴永銖医師、埜中正博医師、笹倉香奈甲南大学教授、秋田真志弁護士、川上博之弁護士、高見秀一弁護士、髙山巌弁護士、三村雅一弁護士が参加しました。

スクワイヤー医師の基調講演では、SBS仮説によると起こるとされている架橋静脈の破断について、実際に破断したのであれば大量出血が生じるため、CT画像での薄いフィルム状の出血所見とは相容れないこと、CT画像では硬膜下と硬膜内の出血を区別できないことなど非常に興味深い内容が語られました。

キース准教授の講演では、2009年にはアメリカ小児科学会(AAP)が、硬膜下血腫や網膜出血といったSBSに特有といわれる症状は低位落下によっては発症しないという文言を削除したことが語られ、低位落下によってもこれらの症状が生じ得るという見解が一般的に受け入れられていない日本の状況との違いが明らかになりました。

また、実際に虐待を疑われた冤罪被害者である矢野美奈さんの子どもと引き離された実体験や、児童相談所等の機関と連携して活動していた三村雅一弁護士が親側の代理人として児童相談所を相手方として活動した経験について語られましたが、これらの報告は胸を打つもので、会場の参加者が最も心を動かされた瞬間でした。

 

シンポジウム「揺さぶられる司法科学」へのご参加、ありがとうございました

2月10日土曜日に開催されました、龍谷大学・犯罪学研究センター主催のシンポジウム「揺さぶられる司法科学:揺さぶられっ子症候群(SBS)仮説の信頼性を問う」にご参加下さいました皆様、本当にありがとうございました。

国内外から多くの皆様のご協力を得ることができ、SBSの問題について冷静でかつエビデンスに基づいた理論的な検討をする第一歩を踏み出すためのシンポジウムになったのではないかと思います。

よりよい社会の実現に向けて、これからも活動を続けていきたいと思います。

ご参加下さいました皆様、本当にありがとうございました。

SBS検証プロジェクト一同

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*シンポジウムの様子について、ぜひ関西テレビ朝日放送朝日新聞毎日放送京都新聞NHKなどをご覧下さい。

関西テレビのニュースでSBS特集が放映されました

関西テレビの夕方のニュース番組「報道ランナー」で揺さぶられっ子症候群の問題が取り上げられました。下記をご覧下さい。

2018年1月31日放映:関西テレビ・報道ランナー「親の虐待か、不慮の事故か? 検証・揺さぶられっ子症候群」。

SBS仮説における確率論の誤謬(その1)

「乳児の場合には,100万人当たり0.48人というのが低所転落からの死亡率と報告されています。」

  これは、あるSBSをめぐる刑事裁判で、検察側証人に立った医師の証言です。その事件では、弁護側は赤ちゃんが7~80センチメートルの高さから落下したと主張していました。これに対し、この証言は、弁護側主張を否定し、“低位落下では死亡事故は滅多に起きない、だからこの事件の被告人も揺さぶりの犯人である”、とする根拠として持ち出されたものです。この医師の証言は、弁護側の主張を覆す意味を持つでしょうか。結論から言えば、そのような意味は持ちません。  続きを読む

SBS(揺さぶられっ子症候群)とは?~その5(ガスケルチの懸念)

記事「SBS理論の起源」でご紹介したとおり、SBS理論の起源は1970年に遡ります。その理論のもととなったのが、ガスケルチの1971年の論文であると言われています。

ガスケルチは1915年にイギリスで生まれ、2016年に亡くなった小児神経外科医です。1975年に定年退職したあとはアメリカに移住し、1977年から1984年までピッツバーグ子ども病院に、1982年から1994年まではアリゾナ州ツーソンのUniversity Medical Centerに勤めました。

そして、SBS冤罪を訴えている事件において、弁護側に医学的な知見に基づくアドバイスを行うなどの活動もしていたのです。

2011年にはNPR(全国公共ラジオ)の取材にこたえ、子どもの死亡や傷害について他の原因を排除することなく、揺さぶりによる虐待があったという診断が行われてしまっているのではないかという現状への懸念を明らかにしました。そして、いまや分裂してしまっている学会が一丸となって、この問題について科学的な確信を持っていえることは何なのかを明らかにすべきであるといったのです。

翌2012年に発表されたガスケルチの論文(*下記参照)も、SBSを巡る最近の議論状況について以下のように懸念を表明しています(引用箇所にはページ数を記しました)。

〔1〕 三徴候について
ガスケルチはまず、乳児の網膜や硬膜の出血の所見から、揺さぶりその他の虐待を推認することはできない、と明確にいいます。そして、三徴候があるということだけで、他の原因により死亡や傷害が生じたという可能性を検証することなく、訴追が行われてしまったケースがこれまでにあったという指摘を行っているのです。 続きを読む

SBS=虐待論における論理の飛躍(論理則の誤り)

『乳幼児の転倒などで頭骨内に重大な傷を負うことはまれで、 重い外傷があれば大人による暴行を考えるべきだと検事に説明したい』

2017年9月、新聞記事に載ったある小児科医のコメントです。新聞記事によれば、最高検と法務省は2017年9月25日から5日間にわたり、医師や児童心理の専門家を招き、全国から集めた検事を対象とする児童虐待についての研修会を開催したとのことです。冒頭のコメントは、その研修の講師として招かれた小児科医によるものです。SBSを念頭においての発言であることは間違いないでしょう。全国の検事に対する研修ですから、この講師の意見は日本の刑事裁判に大きな影響を与えることも間違いありません。では、このコメントは正しいのでしょうか?もちろん、字数の制約が大きいマスコミでのコメント記事ですから、その真意が正確に伝わっているかは不明です。しかし、あくまで記事となったコメント部分を前提とする限り、その論理は明らかに間違っています。 続きを読む