Category Archives: 海外の議論状況

 大阪弁護士会「SBSをめぐる国際セミナー」大成功

昨日、2月12日に大阪弁護士会主催で行われたセミナーには、メディアを含む多くの方々にご参加いただきました。ご協力くださった皆様、ありがとうございました。

企画趣旨に始まり、日本の状況の紹介、スクワイア講演、エリクソン講演、クロージングコメントまでの全てが、いたずらに感情を煽り立てることのない、理性的で理論的なものでした。海外ゲストの講演から、医学的な知見のみならず、科学者の責任と品位とは何かを感じ取った人もいたことでしょう。

「えん罪被害者からのビデオメッセージ」も注目を集めました。14日の岐阜シンポジウムでは、フルバージョンが上映されます。スクワイア講演とエリクソン講演も二倍の長さとなります。どうぞお楽しみに。

岐阜シンポジウム参加申し込みはこちら▷ http://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-2825.html


AHT共同声明の問題点(その2)-チャドウィック医師の確率の誤謬

AHT共同声明」には、循環論法(循環論法の問題点はこちら)以外にも様々な問題点があります。例えば、「共同声明」には、「例えば、チャドウィックらは、低位落下の研究の中で低位落下による死亡は5歳以下の子どもにおいて年間100万人あたり0.48人であると言及した」という表現がでてきます。これはすでにこのブログでも詳しく説明した「確率論の誤謬」です。ところが、「共同声明」では、そのような誤謬も前提の中に隠されてしまい、一読しただけでは判らないのです。同じような議論は日本の論者にも見られます。

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海外の裁判例

最近海外の裁判例についてのご質問を受けることが多くなりました。これまでのブログ記事は下記のとおりです。

アメリカの最近の裁判例 ニュージャージー州無罪判決 オハイオ州控訴審有罪破棄判決 テネシー・ペンシルベニア・ミシガン・メリーランド・テキサス・フロリダ・ニューヨーク・ニュージャージー

スウェーデンの最高裁判決 刑事最高裁無罪判決 最高裁行政事件判決

2019年SBS連続国際シンポ・セミナー・大成功!

2月12日大阪14日岐阜でSBS国際セミナー・シンポジウムを開催してきましたが、16日東京での「国際シンポジウム・SBSを知っていますか」も、約120名が参加し、大成功でした。出席者の皆様、ご協力いただいた皆様、参加していただいた皆様、すべての皆様に厚く御礼申し上げます。

セミナー・シンポジウムの中で、ビデオメッセージとして流されたえん罪被害者の声は、不確実なSBS仮説に依拠して「揺さぶり」や「虐待」を認定することによる被害の深刻さ、危険性を強く訴えるものでした。

ウェイニー・スクワイア医師、アンダース・エリクソン医師の精緻な報告によって、少なくともSBS/AHT論は、十分な証拠も科学的根拠も持ち合わせない、不確実な仮説にすぎないことが明らかになりました。不十分な証拠・根拠に基づく、誤った虐待認定は、決してチャイルドファーストではありません。逆に、罪のない子ども・家族を不幸のどん底に陥れてしまいます。

虐待とえん罪のどちらも防ぐために、課題は山積です。わかること、わからないことを含めて、冷静で建設的な議論をすることが必要であることが再確認できたと思います。これからもよろしくお願い申し上げます。

 

AHT共同声明の問題点(その1)-マグワイアの循環論法

アメリカの小児科医らが公表した「AHT共同声明」には様々な問題点があります。しかし、実は「共同声明」を読んだだけでは、その問題点がわかりません。問題点の多くは、説明されていない「前提」の中に隠されてしまっているからです。最大の問題点の1つである「循環論法」について見てみましょう。

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2018年「AHTに関する共同声明」の翻訳を公開しました

 2018年に「乳児と子どもの虐待による頭部外傷に関する共同声明 Consensus statement on abusive head trauma in infants and young children 」が公表されました。

  米国を中心とした小児科医らが執筆し、米国小児放射線学会(SPR)、米国小児科学会(AAP)などが共同で 出したものです。この中に、日本小児科学会も参加しています。

 「共同声明」の内容は、SBS/AHT推進論者たちが自分たちの見解を改めて明らかにし、SBS/AHT仮説に疑義を唱える議論を批判するというものです。

 内容に新しい点があるというよりも、むしろ現段階でのSBS/AHT理論の推進論者の立場をまとめているものです。従って、どのような問題意識のもとで議論が行われているのかが非常によく分かります。

 同時に、その内容には見過ごすことのできない問題点が数多くあります。これまでのSBS/AHT理論に対して向けられてきた「循環論法」や「自白に依存した危うい理論の危険性」などの批判には、まったく応答していません。

 SBS検証プロジェクトは許諾を得て「共同声明」の全文を翻訳し、その検討を行うことにしました。2月のシンポジウムでも詳細な検討をする予定です。是非、共同声明の翻訳と、これからブログにアップしていく検討を併せてお読み下さい。

 「共同声明」の全文翻訳は、こちらからダウンロードしていただけます。

2月16日(土)東京でもシンポ!

SBSの連続国際セミナー・シンポジウムを行います。

2月12日(火)午後6時30分~8時30分 大阪弁護士会館2階

2月14日(木)午後1時~6時 岐阜 朝日大学5号館512講義室

2月16日(土)午後1時~6時 東京霞ヶ関弁護士会館2階クレオ

速報・大阪高裁も無罪を維持!

大阪高裁第2刑事部(宮崎英一裁判長、杉田友宏裁判官、近道暁郎裁判官)は、2019年1月18日、長女を揺さぶるなどの暴行を加えて死亡させたとして傷害致死で起訴され、一審奈良地裁で無罪とされた父親について、一審判決を支持し、検察官の控訴を棄却しました。大阪地裁での無罪判決に続いて、SBS仮説に対する裁判所の慎重な姿勢が示されたと言えるでしょう。

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2月14日岐阜SBS/AHTシンポジウム 揺さぶられっこ症候群 ~わかっていること、わかっていないこと~12日、大阪でプレセミナーも開催

2月14日(木)13時~18時 岐阜の朝日大学(5号館512講義室)で国際シンポジウム揺さぶられっこ症候群 ~わかっていること、わかっていないこと~を開催します。

このシンポジウムに先立ち、大阪では、2月12日(火)18時30分~20時30分(大阪弁護士会館)「SBSをめぐる国際セミナー」を開催します。

 下記のチラシをご確認の上、是非ご参加ください。