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今西事件シンポジウムを開催します!

SBS仮説がもとで、一審で有罪判決を受けた今西貴大さん。典型的なAHTえん罪事件として、過去にこのブログでもご紹介しました。現在、控訴審が結審し、11月に判決を控えています。この事件を取り上げたシンポジウムが、8月28日に京都で開催されます。主催は、一般財団法人イノセンス・プロジェクト・ジャパンの学生ボランティアで、SBS検証プロジェクトは共催団体として協力しています。

イノセンス・プロジェクト・ジャパン(IPJ)とは、司法実務家、法学者、心理学者、情報科学者などの専門家により、2016年4月1日に設立された団体で、刑事事件のえん罪の被害者を支援し救済すること、そしてえん罪事件の再検証を通じて、公正・公平な司法を実現することを目指しています。IPJは、事件が控訴審に移った2022年から今西事件を支援しています。▶️ IPJの支援事件ページ「今西事件とは」

今西貴大さんが保釈されてから初めてのシンポジウムで、ご本人からもオンラインで直接メッセージをいただく予定です。控訴審で何が明らかになったのか、人質司法の観点からどのような問題があったのかなど、弁護団と学生のパネルディスカッションは必聴です。どうぞお誘い合わせのうえ、ご参加ください。
*台風の接近により現地開催が困難となった場合は、当日午前中にお知らせいたします。

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11月28日判決・公正な裁判の実現に向けて
      今西事件シンポジウム

★日時 2024年8月28日水曜日 14時から17時(開場13時半)

★場所 キャンパスプラザ京都4階第3講義室

★要お申込み
  お申込み先はこちらをクリック

★プログラム
①えん罪とは?
②今西事件とは?
③パネルディスカッション
  今西事件弁護団
④質疑応答
⑤今西貴大さん、今西さんのお母様からのメッセージ
⑥支援者、学生からのメッセージ

【主催】
立命館大学・京都女子大学・甲南大学・龍谷大学IPJ学生ボランティア

【共催】
一般財団法人イノセンス・プロジェクト・ジャパン(IPJ)
SBS検証プロジェクト
今西貴大さんを支援する会
KONANプレミア・プロジェクト「多分野の力を結集して”えん罪救済”に取り組むプロジェクト」

SBS/AHTブックレット刊行のお知らせ

 SBS検証プロジェクトが設立されてから、5年が経過しました。
 この5年間で、SBS問題はどう変わったでしょうか。国際シンポジウムなどを経てSBS/AHT議論は活性化し、プロジェクトが関わった事件のうち無罪判決の確定は10件にのぼりました(2018年以降、2023年3月末まで)。大きな変化がもたらされたといえます。そのため、「SBS問題はもはや終わったのだ」と思われるかもしれません。しかし、いわゆる「新徴候」による訴追や親子分離がまだ続いているのが現状です。SBS問題は、いまだ解決していません。
 そこで、SBS検証プロジェクトの5年間を振り返りながらSBS/AHT問題を整理し、今後の課題を指摘すべく、ブックレットを刊行しました。分かりやすいQ&Aから始まって、えん罪当事者の声、刑事司法と医学鑑定、司法審査と親子分離など、幅広く扱った一冊となっています。
発売は4月18日の予定です。ぜひご一読ください!

「赤ちゃんの虐待えん罪 ーSBS(揺さぶられっ子症候群)とAHT(虐待による頭部外傷)を検証する!」
編著:秋田真志、古川原明子、笹倉香奈
👉ご注文はこちらから  👉試し読みはこちらから


📕目次📕
本ブックレット推薦のことば
SBS自動診断による〈えん罪〉の撲滅を期待/青木信彦
はじめに
パート1 Q&A SBS/AHTえん罪って何?
 Q1 SBS/AHTえん罪という言葉をはじめて聞くのですが、どういうことでしょうか?
 Q2 SBS/AHTはどこが発祥なのでしょうか?
 Q3 なぜ、SBS/AHTえん罪は起きるのですか?
 Q4 SBS/AHTが疑われた事件で、無罪判決を言い渡されたものはありますか?
 Q5 SBS/AHTをめぐる最近の議論状況はどうなっていますか?
 Q6 SBS/AHTによる子ども虐待が疑われると、どうなるのでしょうか?
 Q7 病院は、SBS/AHTによる虐待が疑われる場合、どこに通告するのですか?
 Q8 虐待を疑った児童相談所は、養育者と子どもに対して何をするのですか?
 Q9 SBS/AHTの疑いで一時保護をされた場合、養育者と子どもはどうなるのでしょうか?
 Q10 通報を受けた警察は、被疑者となった養育者に対して何をするのですか? どう対応すべきですか?
 Q11 SBS/AHTの事件では、よく医学鑑定が使われていると聞きますが、どういう問題がありますか?
 Q12 SBS/AHT仮説の問題点について教えてください
 Q13 SBS/AHT仮説の循環論法とはどういうことでしょうか?

パート2 SBS/AHTえん罪 ケース紹介・当事者の思い
ケース1 山内事件
 1 SBS理論に警鐘を鳴らした無罪判決/我妻路人
 2 [当事者の思い]/山内泰子
ケース2 河村事件
 1 低位落下による発症可能性が認められた逆転無罪/秋田真志
 2 [当事者の思い]/河村透子(仮名)
ケース3 永岡事件
 1 ソファからの落下とSBS──岐阜地裁・名古屋高裁の重要な指摘/秋田真志
 2 [当事者の思い]/永岡麻美(仮名)
ケース4 小田事件
 1 事実関係を冷静に分析しなかった警察・検察/村井宏彰
 2 [当事者の思い]/小田雅矢(仮名)
ケース5 市谷事件
 1 「三徴候=激しい揺さぶり」という決めつけがかたちを変えて起きたえん罪/川上博之
 2 [当事者の思い]/市谷あかり(仮名)
ケース6 菅家事件
 1 つかまり立ちからの転倒を虐待と誤認され逮捕された事案/陳愛
 2 [当事者の思い]/菅家英昭
ケース7 田中事件
 1 事故による親子分離・面会制限の違法性が認められた事例/秋田真志
 2 [当事者の思い]/田中ちえ(仮名)

パート3 SBS/AHTえん罪の原因
 1 SBS/AHT虐待えん罪と捜査・裁判の問題点/宇野裕明
 2 医学鑑定と刑事手続/徳永光

パート4 SBS/AHTと親子分離
 1 はじめに──司法審査導入に向けて/古川原明子
 2 司法審査と親子の権利/山口亮子
 3 親子分離の実情と問題点/三村雅一

参考資料一覧
SBS検証プロジェクトの歩み
あとがき


 

[御礼]3月3日のシンポジウムへのご参加、ありがとうございました!

3月3日は、SBS検証プロジェクト共催シンポジウム『それでもえん罪はなくならない ―連続無罪判決後、「揺さぶられっ子症候群(SBS)」問題は終わったか?―』へのご来場とwebでのご視聴、ありがとうございました!対面とwebを合わせて、約160名もの方にご参加いただきました。

SBS検証プロジェクトの発足から、ちょうど5年が経過しました。この機会に、この5年を振り返り、SBS/AHTの問題を改めて検討するために開催したシンポジウムで、とりわけ今西貴大さんの事件を通して、えん罪の問題について皆様と考える貴重な機会になりました。

SBS検証プロジェクトの事務局長の川上博之(大阪弁護士会)は、ここ5年間のSBS/AHT事件の状況を振り返り、いわゆる「三徴候」ではなくあらたな「新徴候」による訴追が続いていること、しかしその立証の構造は旧来の「三徴候」による訴追と何ら変わらないことを明快に指摘しました。

その後のパネルディスカッションでは、現在大阪高等裁判所に控訴審が継続している、今西貴大さんの事件の弁護団が登壇し、事件の内容や現状についてわかりやすく説明しました。

さらに、2018年から活動を続けているSBS/AHTを考える家族の会の代表・菅家英昭さんや、SBS検証プロジェクトのメンバ―の古川原明子(龍谷大学法学部教授)も、この5年の活動を振り返りました。

2020年以降、コロナ禍によりすべてのイベントをオンラインに切り替えていましたが、今回は、久々に対面でも開催できたイベントでした。皆様と同じ熱気を共有できましたことに心から御礼申し上げます。

当日の様子を報じた関西テレビの記事です → こちらをクリック

IPJ学生ボランティアのインタビュー記事公開

すでにこちらでも同じインタビュー記事の前編をご紹介しましたが、イノセンス・プロジェクト・ジャパンの学生ボランティアが今西貴大さんの事件について高校でワークショップを開催し、その活動などについて、日本国民救援会が発行する「救援新聞」が取り上げてくださいました。1月15日号では、2回連載の2回目が公開されています。

インタビューを受けたのは、甲南大学で学生ボランティアとして活動する堀田零生(3回生)と西村友希(1回生)、SBS検証プロジェクト共同代表で、IPJの副代表でもある同大学教授の笹倉香奈です。

ぜひお読みください!

前編はこちらをクリック

後編はこちらをクリック

本日の朝日新聞記事

本日の朝日新聞朝刊に、「無罪判決相次ぐ『揺さぶられ症候群』初の実態調査へ」(1面)、「『揺さぶり』難しい事実証明 多角的な検証体制求める声」(3面、いずれもリンク先は会員限定記事です)という2つの記事が掲載されました。

厚労省の『手引き』改訂に向けた動きが進んでいること、SBSの対応の見直しと、その前提となる実態調査が今後行われる予定であることが紹介されています。本記事は、虐待を疑われ1年7か月に渡って子どもと引き離され、自身も逮捕されてしまった女性の経験についても取りあげています。

家庭内で子どもが怪我をしたときには事実の証明が難しいことから、多角的な検証体制が必要です。記事では、医学的論争を整理し対応を議論しなければならないという虐待対応現場の声とともに、三徴候による判断は誤る可能性があるという研究が多くあるので慎重に判断しなければならない、小児科医や脳神経外科医などの異なる専門領域の医師が意見を交わして検証する体制が必要である、との法医学者の意見が紹介されています(ただし、法医学者のコメントはデジタル版のみに掲載)。

1週間前の同紙の別の記事「赤ちゃん、泣きやまない時」については、本ブログでも2回にわたって指摘したような様々な問題点がありましたが、本日の記事は議論や問題の状況を客観的にとらえたものでした。指摘されているとおり、冷静で多角的な議論が進められることを願っています。

朝日新聞フォーラム「赤ちゃん泣きやまない時」の何が問題か

朝日新聞2020年7月19日版(大阪本社)に「フォーラム・赤ちゃん泣きやまない時」というオピニオン欄一面を使った記事(以下、「フォーラム記事」)が掲載されました。その記事内容には、正直なところ驚かされました。いわゆるSBS/AHT仮説を主導してこられた医師4名の顔写真付きのコメントが並び、そのご主張が全面展開されていたのです。確かに、私自身は、朝日新聞社にも編集権があり、そのような立場の方の意見だけが掲載されることは、それだけで不公平だとは思っていません(もっとも、私もこれまで様々な形で報道被害に遭われた方を数多く知っており、このようなことを書くと、甘いとご批判を受けるかもしれません)。また、記事やそのコメントの中には、私たちが行ってきた批判を意識した部分も見られ、直ちに一方的な記事とは言えないと思います。しかし、これらの記事やコメントの内容は、相当問題だと言わざるを得ません。いくつか例を挙げましょう。

 まず、NPO法人チャイルドファーストジャパンの山田不二子理事長のコメントです。

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