そもそも、揺さぶられっ子症候群(乳幼児揺さぶられ症候群)とはどういうものなのでしょうか。
揺さぶられっ子症候群は、英語では”Shaken Baby Syndrome”(略して「SBS」)と呼ばれます。最近では、”Abusive Head Trauma”(「虐待による頭部外傷」、略して「AHT」)という呼び方をされることもあります。
簡単にいえば、赤ちゃんの頭を激しく揺さぶることにより、脳が損傷して重篤な結果が生じるというものです。赤ちゃんの身体に他に目立った外傷がない場合には、保護者や養育者が赤ちゃんを激しく揺さぶって(つまり、虐待して)傷害や死亡の結果を負わせたと推認されているのです。
SBSは、三つの症状(「三徴候」といいます)から診断できる、といわれています。①硬膜下血腫、②網膜出血、③脳障害(脳浮腫など)です。しかし、今後書いていく予定ですが、この三徴候の内容自体、実は明確ではありません。
SBSの理論に対しては、1980年代の終わりころから批判が向けられてきました。SBS理論の起源と現状について、これから何度かに分けて書いていこうと思います。