Author Archives: AKITAMasashi

3メートル以上の高位落下の証拠がなければ虐待?

三主徴(硬膜下血腫・網膜出血・脳浮腫)が揃っていて、3m 以上の高位
落下事故や交通事故の証拠がなければ、自白がなくて(ママ、「も」が脱落?)SBS/AHT である可能性が極めて高い」

これは、日本で虐待を防止しようと医師向けの啓蒙活動を行っているグループが公表している「SBS/AHT の医学的診断アルゴリズム」の冒頭に掲げられている表現です。つまり、養育者が「3メートル以下から落下したことがある」と説明しても、「虐待」である「可能性がきわめて高い」とされてしまうのです。

え?と思いませんか。3メートルと言えば、バスケットボールリンクの高さ(10フィート=約305センチ)とほぼ同じです。そんなところから赤ちゃんが落ちれば、三徴候以前に、命が助かる方が好運でしょう。 Continue reading →

ブログ紹介 揺さぶられっ子症候群の問題点を指摘

下記のブログで、脳神経外科の藤原一枝医師が、揺さぶられっ子症候群の問題についてコメントしておられます。SBS検証プロジェクトについても触れておられます。是非お読みください。http://www.iwasakishoten.site/entry/kodomo/kega

http://www.iwasakishoten.site/entry/kodomo/gyakutaiyougi

脳浮腫の原因はびまん性軸索損傷か?

医学専門的な話になってしまいますが、SBSをめぐる刑事裁判で、「暴力的な揺さぶりがあった」と決めつけようとする検察側証人の医師は、三徴候の一つとされる「脳浮腫」の原因について、「揺さぶりによって、びまん性軸索損傷が生じたのだと推定する」と強調します。

「びまん性軸索損傷」というのは、簡単に言うと、脳の中の広い範囲で(医学的にはそのような場合を「びまん」といいます)、神経が切れてしまうことです。もし、虐待によって、このようなびまん性軸索損傷が起こったとするのであれば、それは大変なことです。

しかし、「揺さぶりによって、びまん性軸索損傷が生じる」という根拠は示されません。「どの程度の揺さぶりによってびまん性軸索損傷が生じるのか」「そもそも揺さぶりによってびまん性軸索損傷は生じるのか」について、何の医学的データもないのです。逆に、イギリスの神経病理医であるゲッデス医師は、脳浮腫を生じた乳児の死亡例を数多く解剖した結果、びまん性軸索損傷はほとんど起こっていないこと、脳浮腫の多くは、低酸素脳症によるものであることを確認しました。

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