Author Archives: AKITAMasashi

SBSをめぐるもう一つの出版-溝口医師のSBS解説

柳原三佳さんの「私は虐待していない-検証 揺さぶられっ子症候群」をご紹介しましたが、ほぼ時を同じくして、もう一つSBSに関する一般向けの出版がなされました。溝口史剛医師訳の「SBS:乳幼児揺さぶられ症候群-法廷と医療現場で今何が起こっているのか?」(金剛出版)です。これは、アメリカのSBS理論を主導してこられたロバート・リース医師が書かれた”To Tell The Truth”という法廷小説を、溝口史剛医師が日本を舞台に置き換えた翻訳をされた上、SBSの議論状況について、溝口医師の立場からの詳細な解説を加えたものです。溝口医師による解説部分は、「訳者まえがき」が3頁、「訳者あとがき」が、「訳者による解説」「追記」「さらに追記」という文章及び参考文献も含めて全文80頁に及んでいます(以下、「溝口解説」とします)。そして、溝口解説は、その紙幅の多くが、SBS検証プロジェクトの活動、特にホームページやこのブログに対する批判で埋め尽くされていると言っても過言ではありません。非常に丁寧にホームページやブログを確認して下さっていることが、よく判ります。通説化してしまっていたSBS仮説について、議論を巻き起こしたいと考えていた当プロジェクトとしても、多くの批判もいただきながら、議論が活性化し、建設的な話し合いができることは、まさに望むところです。

しかし、溝口解説は残念ながら、私たちの期待したような冷静で建設的な議論からはほど遠いものと言わざるを得ませんでした。

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柳原三佳さん「私は虐待していない-検証 揺さぶられっ子症候群」発売

このブログで何度かご紹介したジャーナリストの柳原三佳さんが、講談社から「私は虐待していない-検証 揺さぶられっ子症候群」を上梓されました。SBSをめぐる様々な状況を的確に指摘した意欲作です。当プロジェクトにも触れていただいています。是非、お読みください。

2019連続・国際セミナー・シンポジウム大成功!

2月12日大阪14日岐阜でSBS国際セミナー・シンポジウムを開催してきましたが、16日東京での「国際シンポジウム・SBSを知っていますか」も、約120名が参加し、大成功でした。出席者の皆様、ご協力いただいた皆様、参加していただいた皆様、すべての皆様に厚く御礼申し上げます。

セミナー・シンポジウムの中で、ビデオメッセージとして流されたえん罪被害者の声は、不確実なSBS仮説に依拠して「揺さぶり」や「虐待」を認定することによる被害の深刻さ、危険性を強く訴えるものでした。

ウェイニー・スクワイア医師、アンダース・エリクソン医師の精緻な報告によって、少なくともSBS/AHT論は、十分な証拠も科学的根拠も持ち合わせない、不確実な仮説にすぎないことが明らかになりました。不十分な証拠・根拠に基づく、誤った虐待認定は、決してチャイルドファーストではありません。逆に、罪のない子ども・家族を不幸のどん底に陥れてしまいます。

虐待とえん罪のどちらも防ぐために、課題は山積です。わかること、わからないことを含めて、冷静で建設的な議論をすることが必要であることが再確認できたと思います。これからもよろしくお願い申し上げます。

 

AHT共同声明の問題点(その4)-区別する基準が存在しない

(1)循環論法、(2)確率の誤謬、(3)自白への依存AHT共同声明の問題点を指摘してきました。4つめの問題として、虐待とそれ以外を区別する基準が存在しないという問題点を取り上げましょう。この点については、すでに「なぜ議論はすれ違うのか-わからないことは、わからない」の中でも取り上げています。しかし、重要な問題なので、繰り返し取り上げたいと思います。

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AHT共同声明の問題点(その3)-自白への依存

SBS仮説をめぐる大きな論点の一つが、「揺さぶりのみによってSBSとされるような頭蓋内損傷(三徴候)が生じるか」です。仮に揺さぶりのみで三徴候が生じるとしても、逆に三徴候がある場合に揺さぶりと言えないことは当たり前です。今回の国際セミナー・シンポウェィニー・スクワイア医師は、「インフルエンザで頭痛は生じる。しかし、頭痛があるからと言って、インフルエンザとは言えない」という例を挙げておられましたが、本当にそのとおりです。ただ、ここではその議論はひとまずおきましょう。「揺さぶりのみで三徴候が生じる」というSBS仮説の大前提そのものが揺らいでいるのです。その大前提は、自白に依存しているからです。

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AHT共同声明の問題点(その2)-チャドウィック医師の確率の誤謬

AHT共同声明」には、循環論法(循環論法の問題点はこちら)以外にも様々な問題点があります。例えば、「共同声明」には、「例えば、チャドウィックらは、低位落下の研究の中で低位落下による死亡は5歳以下の子どもにおいて年間100万人あたり0.48人であると言及した」という表現がでてきます。これはすでにこのブログでも詳しく説明した「確率論の誤謬」です。ところが、「共同声明」では、そのような誤謬も前提の中に隠されてしまい、一読しただけでは判らないのです。同じような議論は日本の論者にも見られます。

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海外の裁判例

最近海外の裁判例についてのご質問を受けることが多くなりました。これまでのブログ記事は下記のとおりです。

アメリカの最近の裁判例 ニュージャージー州無罪判決 オハイオ州控訴審有罪破棄判決 テネシー・ペンシルベニア・ミシガン・メリーランド・テキサス・フロリダ・ニューヨーク・ニュージャージー

スウェーデンの最高裁判決 刑事最高裁無罪判決 最高裁行政事件判決

2019年SBS連続国際シンポ・セミナー・大成功!

2月12日大阪14日岐阜でSBS国際セミナー・シンポジウムを開催してきましたが、16日東京での「国際シンポジウム・SBSを知っていますか」も、約120名が参加し、大成功でした。出席者の皆様、ご協力いただいた皆様、参加していただいた皆様、すべての皆様に厚く御礼申し上げます。

セミナー・シンポジウムの中で、ビデオメッセージとして流されたえん罪被害者の声は、不確実なSBS仮説に依拠して「揺さぶり」や「虐待」を認定することによる被害の深刻さ、危険性を強く訴えるものでした。

ウェイニー・スクワイア医師、アンダース・エリクソン医師の精緻な報告によって、少なくともSBS/AHT論は、十分な証拠も科学的根拠も持ち合わせない、不確実な仮説にすぎないことが明らかになりました。不十分な証拠・根拠に基づく、誤った虐待認定は、決してチャイルドファーストではありません。逆に、罪のない子ども・家族を不幸のどん底に陥れてしまいます。

虐待とえん罪のどちらも防ぐために、課題は山積です。わかること、わからないことを含めて、冷静で建設的な議論をすることが必要であることが再確認できたと思います。これからもよろしくお願い申し上げます。

 

AHT共同声明の問題点(その1)-マグワイアの循環論法

アメリカの小児科医らが公表した「AHT共同声明」には様々な問題点があります。しかし、実は「共同声明」を読んだだけでは、その問題点がわかりません。問題点の多くは、説明されていない「前提」の中に隠されてしまっているからです。最大の問題点の1つである「循環論法」について見てみましょう。

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