2021年1月18日、厚生労働省子ども家庭局による児童相談所における一時保護の手続等の在り方に関する検討会第5回にて、「SBS/AHTを考える家族の会」の菅家英昭さんのヒアリングが行われました。
このヒアリングは、オンラインで開催されたため、ライブ配信を通じて傍聴することができました。「家族の会」からも数人が傍聴されたと聞いています。
菅家さんからのご報告は、配布資料からその概要を知ることができます。生後約半年のお子さんが転倒により大怪我を負って以降、十分な説明も、入所解除への道筋も示されないまま、時にちらつかせられる面会禁止のカードに怯えながら、500日以上に及んだ親子分離の体験が、淡々と、時に切々と語られました。何度か菅家さんのお話を伺っていますが、慣れることはありません。聞くたびに胸が苦しくなります。
菅家さんからの報告に対して、出席の委員からは、アセスメントのありかた、医師によるセカンドオピニオンの取り扱い、あるいは不服申し立て手続きの有効性などについて、質問や意見が出されました。どれも、今後の一時保護の手続きの適正化に向けて、看過できない重要なトピックであると言えるでしょう。また、保護者の権利と子の権利が、常に対立構造にあるわけではないという視点も共有されたように感じました。
菅家さんはご報告の中で、「我が家のケースは氷山の一角です」ともおっしゃいました。菅家さんのように、不適切あるいは過度な一時保護処分のなされたケースを収集すること、そのための仕組みを設けることも欠かせないでしょう。そして、菅家さんのように、SBSを疑われたケースには特有の困難さがあること、その是正のためにはSBS理論自体の検証が不可欠であることを強調しておきたいと思います。
昨年9月にはじまったこの検討会で、一時保護処分を受けた保護者の意見が直接に聴取されたのは今回が初めてでした。タイトなスケジュールの中で、このようなヒアリングの機会を設けることを決められた委員会の判断は、高く評価されるべきものです。議事録が遠からず公開されます。検討会で認識されたことが、一時保護の手続きの見直しに確実に反映されるよう、多くの方に関心をもっていただきたいと思います。