速報・大阪高裁も無罪を維持!

大阪高裁第2刑事部(宮崎英一裁判長、杉田友宏裁判官、近道暁郎裁判官)は、2019年1月18日、長女を揺さぶるなどの暴行を加えて死亡させたとして傷害致死で起訴され、一審奈良地裁で無罪とされた父親について、一審判決を支持し、検察官の控訴を棄却しました。大阪地裁での無罪判決に続いて、SBS仮説に対する裁判所の慎重な姿勢が示されたと言えるでしょう。

被告・弁護側は、「被告人が本件当日の前日か前々日に長女を過って布団に落下させており、これによって致命傷が生じた可能性がある」(いわゆる低位落下)と主張していたのに対し、検察官は、被告人の捜査段階の自白等を重視して、被告人が揺さぶりにより虐待した犯人に違いないと主張していました。また、検察官は、控訴審になって、被害児の受傷時期をわずか37分の間に特定できるなどとして、被告人が犯人に間違いないという根拠にもしていました。

しかし、大阪高裁は、証拠上、受傷時期をそのような短時間に特定できないとした上で、被告人の捜査段階の自白は客観的に裏付けられたものでなく、妻をかばうためになされた可能性が否定できないとして、検察官の主張をいずれも斥けたのです。

SBS仮説は、この事件での検察官主張のように、その根拠として揺さぶりの自白例があることを重視しています。しかし、揺さぶりの自白があるとしても、本当に自白どおりの揺さぶりがあったのか、さらには揺さぶりがあったとしても、その外傷がその揺さぶりによって生じたものと言えるのかなど、様々な問題が残されます。スウェーデン政府機関の報告書が強く指摘していますが、自白に依拠するのは危険です。この事例は、自白偏重に警鐘を鳴らすものとして極めて重要だと言えるでしょう。

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