Author Archives: Kana Sasakura

雑誌『季刊刑事弁護』でSBS特集!

4月20日に発売された刑事弁護の専門誌『季刊刑事弁護』に、揺さぶられっ子症候群(虐待による頭部外傷)の特集が組まれました!

目次は下記のとおりです。是非、お読み下さい!

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[特集]乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)事件を争う弁護活動
「本特集の趣旨」 川上博之
「乳幼児揺さぶられ症候群とは」 笹倉香奈
「判例分析①—争点と判断構造」 川上博之
「控訴審で何とか協力医の尋問にこぎつけたが、無念の敗訴—実録・SBS弁護の困難」 金杉美和
「捜査段階の留意点」 髙山 巌
「SBS事案の公判段階の弁護活動ではどのような点を注意すべきか」 秋田真志
「判例分析②—無罪事案」 我妻路人
「SBSが疑われた場合の児童相談所・家庭裁判所対応」 三村雅一
「虐待による頭部外傷」 荒木 尚

「インタビュー その鑑定医は、本当に専門家ですか?」     朴 永銖/インタビュアー:川上博之

スクワイア先生のTEDトーク、公開!

2月に来日された、イギリスの神経病理学者であるウェイニー・スクワイア先生TEDトークが公開されました。

TEDトークは、アメリカ発祥の大人気のプレゼンテーションイベントです。日本でもNHKの「スーパープレゼンテーション」という番組で放映されており、ご存知の方も多いかと思います。”Ideas Worth Spreading(広める価値のあるアイディア)”を標語に、世界の第一線で活躍しているその道の第一人者がプレゼンテーションを行うものです。

スクワイア先生のTEDトーク “I Believed in Shaken Baby Syndrome Until Science Told Me I Was Wrong (科学によって誤っていたことが明らかにされるまで、揺さぶられっ子症候群を信じていました)”  は、ここをクリックしてご覧下さい。

スクワイア先生は、もともとSBS仮説を信じて検察側の証人として証言をしていました。しかし、ゲッデスの研究などに接し、自分でも研究をしていく中でSBS仮説の問題点に気づきます。

トークでは、その後、捜査機関がどのように対抗してきたかなどが語られるとともに、現在の虐待の認定のあり方をどのように変えて行くべきかなどをお話しされています。

シンポジウム「揺さぶられる司法科学」へのご参加、ありがとうございました

2月10日土曜日に開催されました、龍谷大学・犯罪学研究センター主催のシンポジウム「揺さぶられる司法科学:揺さぶられっ子症候群(SBS)仮説の信頼性を問う」にご参加下さいました皆様、本当にありがとうございました。

国内外から多くの皆様のご協力を得ることができ、SBSの問題について冷静でかつエビデンスに基づいた理論的な検討をする第一歩を踏み出すためのシンポジウムになったのではないかと思います。

よりよい社会の実現に向けて、これからも活動を続けていきたいと思います。

ご参加下さいました皆様、本当にありがとうございました。

SBS検証プロジェクト一同

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*シンポジウムの様子について、ぜひ関西テレビ朝日放送朝日新聞毎日放送京都新聞NHKなどをご覧下さい。

関西テレビのニュースでSBS特集が放映されました

関西テレビの夕方のニュース番組「報道ランナー」で揺さぶられっ子症候群の問題が取り上げられました。下記をご覧下さい。

2018年1月31日放映:関西テレビ・報道ランナー「親の虐待か、不慮の事故か? 検証・揺さぶられっ子症候群」。

SBS(揺さぶられっ子症候群)とは?~その5(ガスケルチの懸念)

記事「SBS理論の起源」でご紹介したとおり、SBS理論の起源は1970年に遡ります。その理論のもととなったのが、ガスケルチの1971年の論文であると言われています。

ガスケルチは1915年にイギリスで生まれ、2016年に亡くなった小児神経外科医です。1975年に定年退職したあとはアメリカに移住し、1977年から1984年までピッツバーグ子ども病院に、1982年から1994年まではアリゾナ州ツーソンのUniversity Medical Centerに勤めました。

そして、SBS冤罪を訴えている事件において、弁護側に医学的な知見に基づくアドバイスを行うなどの活動もしていたのです。

2011年にはNPR(全国公共ラジオ)の取材にこたえ、子どもの死亡や傷害について他の原因を排除することなく、揺さぶりによる虐待があったという診断が行われてしまっているのではないかという現状への懸念を明らかにしました。そして、いまや分裂してしまっている学会が一丸となって、この問題について科学的な確信を持っていえることは何なのかを明らかにすべきであるといったのです。

翌2012年に発表されたガスケルチの論文(*下記参照)も、SBSを巡る最近の議論状況について以下のように懸念を表明しています(引用箇所にはページ数を記しました)。

〔1〕 三徴候について
ガスケルチはまず、乳児の網膜や硬膜の出血の所見から、揺さぶりその他の虐待を推認することはできない、と明確にいいます。そして、三徴候があるということだけで、他の原因により死亡や傷害が生じたという可能性を検証することなく、訴追が行われてしまったケースがこれまでにあったという指摘を行っているのです。 Continue reading →

12月7日の勉強会の記事がYahoo!ニュースに公開

12月7日木曜日に千葉で開催したSBS検証プロジェクトの勉強会に関する記事がYahoo!ニュースに公開されました。

この問題について取材をされている、ジャーナリストの柳原三佳さんによる執筆記事です。

是非お読み下さい。

柳原三佳さん「虐待ではなく、事故の可能性も…『揺さぶられっ子症候群』を考える」の記事はこちらです。

SBS(揺さぶられっ子症候群)とは?~その4(SBS仮説への疑念)

SBS理論は、次のような推論を前提にしています。

①頭部が揺さぶられることによって、硬膜下血腫、網膜出血、脳障害が生じること、②これらの症状は低位からの落下では生じず、少なくともある程度の高さからの落下(例えば3メートルなどと言われます)か交通事故などによらなければ生じないこと、③これらの症状が生じてから赤ちゃんが意識を失ったりするまでの時間は短時間であり、意識清明期はないこと、従って最後に赤ちゃんと一緒にいた者が揺さぶりの「犯人」であること、などです。

しかし、SBS理論に対しては、すでに1990年頃から疑念が呈され始めていました。そして、上記のようなSBS理論の前提に対しては、科学的な観点から批判が向けられているのです。 Continue reading →