Daily Archives: 2017年11月28日

2018年2月10日京都にて国際シンポジウムを開催します

画期的なシンポジウムです。

https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-995.html

何が「画期的」なのか。以下の二点をご覧ください。

第一に、医師と法律家が共にSBS理論について議論する場は、(少なくとも公開の場は)日本ではこれまでに存在しませんでした。

第二に、複数の専門領域の医師が、SBS理論の科学的信頼性を特に論じる機会は多くはなかったと伺っています。

本シンポジウムには、複数の専門領域の医師と法律家が共に参加します。

豪華なパネリスト

本シンポジウムは、単なる議論の場を提供するだけではありません。

まず、国外からは、SBS理論の科学的信頼性について問うてきた著名な医師と、SBS事件を担当した弁護士を招きました。

次に、国内からは、SBSについて日本で最も深い知識を有するとされる脳神経外科医、医学界をリードしてきた法医学者、日々医療現場で臨床に携わる医師が参加します。そこに、SBS事件を現に担当する弁護士と研究者が数名加わります。(今後、異なる立場の医師にも参加を呼びかける予定です)

本シンポジウムは、「刑事司法における科学鑑定の信頼性」を追求するユニットが主催しています。ここで問われているのは、「特定の虐待の判断基準が科学的に信頼できるか否か」という問題であり、「虐待を許すか否か」ではありません。

エビデンス・ベースドな議論を志向する方、ぜひご参加ください。参加費は無料です。

お申し込みは以下から↓

https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-995.html

 

SBS(揺さぶられっ子症候群)とは?~その3(「三徴候」とは?)

揺さぶられっ子症候群の診断には「①硬膜下血腫またはくも膜下出血 ②眼底出血 ③脳浮腫などの脳実質損傷などの三主徴」(厚生労働省「子ども虐待対応の手引き」2013年)が挙げられるとされます。つまり、この「三徴候(英語で“Triad”と言います)」といわれる三つの症状がSBSの診断の際の決め手になるのです。

さて、前回の記事でお話ししたとおり、SBSの仮説は1970年代に萌芽を見せました。しかし、その理論的先駆者であるとされるカフィーは、硬膜下血腫と網膜出血にのみ注目していたのです。

それでは、いわゆる「三徴候」による診断は、いつ頃から行われていたのでしょうか。

この点は実は明らかではありません。カフィーの1970年代初頭の論文以降、1990年代後半までのいつかではないかとされています。 Continue reading →